星天qlayとは

2024.01.20

遊ぶように人をつなぎ、星天エリアに賑わいをもたらす/生きかたを、遊ぶ住まい「YADORESI」

星天qlayのDゾーンにある”生きかたを、遊ぶ住まい”「YADORESI」。変化や気づきを楽しみながら、住人がそれぞれの「生きかたを、遊ぶ」のヒントを見つけ、暮らしや働き方の中で体現していけるレジデンスです。星天qlay内で住人限定特典があったりと、星天qlayのなかで交流を促す仕組みも設けられています。

YADORESIの大きな特徴が、 コミュニケーションやつながりをサポートする「コミュニティビルダー」の存在です。活動期間中、家賃無料でYADORESIに住まいながら、星天qlayのテナント、周辺地域とのコミュニケーションをとりつながりをつくったり、”生きかたを遊ぶ”暮らしのサポートをする役割を担っています。

YADORESIのオープンからコミュニティビルダーとして活動しているのが、松本千花さんと中尾みゆうさん。テナントや地域の方からも、「千花さん」、「みゆうさん」と呼ばれ、星天エリアの皆さんに親しまれているおふたりに、コミュニティビルダーとしての活動や、このまちへの思いを聞きました。

コミュニティビルダーは、人と人をつなぐ仕事


松本千花さん

 

ただYADORESIに暮らすのではなく、コミュニティビルダーとして住まうことを選んだ千花さんとみゆうさん。2人はなぜ、ヤドレジのコミュニティビルダーに挑戦しようと思ったのでしょうか?

千花さん「私は保育園や幼稚園、小学校で造形指導(図工の先生)などを行う仕事をしています。普段生活をしていると家と職場の往復になり、人間関係が固定されてしまうことに閉塞感のようなものを感じていました。この状況を変えたい、自分の世界を広げるためには自分が動かなければと考えていた時に、コミュニティビルダーの募集を見つけて『これだ』と思ったんです。コミュニティビルダーになれば人と会うこと自体が仕事になって、いろいろな人と会って世界が広げられると思い応募しました。」

みゆうさん「私は天王町が地元なので、生まれ育ったまちの開発がずっと気になっていました。大学生活にも慣れてきて、家を出ようと考えていたタイミングでコミュニティビルダーの募集を見つけ、このまちが変わってく様子を間近で見れたら楽しいだろうなと思いました。今は教育関係の勉強をしているので、子どもたちが育つまちの環境がどう作られているかにも興味があり、好奇心で応募を決めました。コミュニティビルダーは人と人をつなげていくイメージがあったので、私がこのまちでつながっている人たちと、星天qlayに集まる新しい人たちのつなぎ役ができたらいいなという気持ちもありました。」

 

楽しみながら、テナント同士の交流を作っていく


中尾みゆうさん

YADORESIの枠を超え、「星天qlayのコミュニティビルダー」として施設内や地域の方と楽しみながらコミュニケーションを取っている2人。オープンから積み重ねてきた関係づくりによって、テナントや地域の方とのコラボレーション企画が実現したりと、そのつながりが少しずつ、着実に実り始めています。

千花さん「私たちは星天qlayのコミュニティビルダーなので、いろいろなコミュニティに属しながら、この人とこの人がつながったら面白そうというのを常に考えています。みんなの『やりたい』をうまくつなげて、星天を盛り上げられる人でありたいです。そのために意識的にまちのいろいろなところに遊びに行って、関係づくりを行っています。」

みゆうさん「私自身も楽しんでいるのは、毎月第3土曜日に開催しているオープンデイ(YADORESIの開放日)後のポットラックパーティーです。昨年の6月に、YADORESIのお隣のPILEさんと開催してみようと話が盛り上がり、今はYADORESIのホームパーティーとして恒例化しています。星天qlayの他のテナントの方も来てくださって少しずつ輪が広がり、星天qlay内の方々がざっくばらんに交流できる大切な場に育っています。」


YADORESIのリビングで開催される食材持ち寄りで行うポットラックパーティーの様子。

千花さん「ヤドレジに来てもらったり、どこかへ遊びに行ったりして場所を変えると、仕事上の肩書きが脱ぎやすくなるのかなと思います。YADORESIに来てくれた人や関係を持ってくれた人とのつながりが1度きりで終わってしまったらもったいないという思いから、ヤドカリのお友達という意味を込めて、『HAMAGURI』というグループラインを作成しました。YADORESIとつながってくれた方を招待して、みんなの『やりたい』や『できない』を交換して、助け合いができるコミュニティになったら良いなと思っています。」

 

はなれマドは、小さく実験できる場所


素材と色の実験室を開く千花さん

 

YADORESIのなかでもとくにこだわりをもって作られたのが、窓付きの小さなスペース「はなれマド」。それぞれの住民が暮らす個室を出た廊下の先に設置されており、ギャラリー、作品の展示、制作スペース、物品販売所として使用することができます。年齢も職業もバラバラな人たちが共に暮らすYADORESIでの生活は、どんな毎日なのでしょうか?

千花さん「私はこれまでもいくつかのシェアハウスで暮らしたことがありますが、YADORESIは温かくて優しいシェアハウスだなと思います。『生きかたを、遊ぶ』というシェアハウスのコンセプトもあってか、『そういう生きかた、過ごしかたがあっても良いよね』と言える多様性に富んだ人たちが集まっている気がします。はなれマドは、その人の『好き』が顕在化する場だなと思います。私は自分のはなれマドを『素材と色の実験室』と呼んでいて、クリスマスツリーを毛糸で作るとどうなるかを一緒に試したり、マーブリングという特殊な絵具を使う機会を作ったりと、私がやりたいことをみんなを巻き込んで実験する場にしています。」

はなれマドの外に机をくっつけて、空間を拡張させている千花さんの実験室。千花さんファンの地域の子どもたちも多く、実験室を開いている日は、はなれマドの外までとても賑わっています。一方みゆうさんは、「はなれマドでかつてからの夢を叶えることができました」とキラキラの笑顔でお話してくれました。

 


12月のオープンデイでドーナツ屋さんを開くみゆうさん

 

みゆうさん「私は12月のオープンデイで、はなれマドを使って夢のドーナツ屋さんを開きました。もともと子供の居場所づくりのきっかけとしてドーナツ屋さんをやりたかったんです。事前に食品衛生責任者の資格をとり、当日は近所のレストランのキッチンをお借りして作ったドーナツをはなれマドで販売しました。私にとってあの小さな窓は挑戦のきっかけであり、自分の夢を後押ししてくれるものでした。大きすぎないあのサイズ感だったから、初めてでも自分なりに模索しながら実現できて、次はもっとこうしたいという目標もできました。夢を叶えられて本当に楽しかったし、これからもまだまだはなれマドを楽しんでいきたいです。」

住民それぞれが思い思いの使い方をしているはなれマド。よくはなれマドに来るお子さんのお母さんから、「YADORESIに来るといろいろな大人と関わることができるので、うちの子が人見知りしなくなりました」と言っていただいたこともあるそうです。

 

みんなの「やりたい」をつないでいく

最後に、2人が思う「生きかたを、遊ぶ」について、そしてこれからこのまちで挑戦したいことを聞きました。

千花さん「入居する前は『遊び=100%楽しいもの』というイメージでしたが、1年弱このまちで暮らしてみて、『生きかたを、遊ぶ』というのは実験だと思うようになりました。仕事はそこに対価が発生する以上、絶対に成功させなければならないものですが、実験は『成功するかもしれないし、失敗するかもしれない』という余白がありますよね。『実験ができる場所』、『実験をして良い場所』という認識が星天qlay全体でつくれたら、『生きかたを、遊ぶ』というコンセプトが具現化されて素敵だなと思います。

地域の方もそれぞれの生きかたがとても柔軟で、率先して地域のために何かをしたいという方が多い気がします。そういう意味では、YADORESIがもっとフラッと立ち寄れる場所になれたら良いなと思うし、私たちがテナントの皆さんとラフに話している姿を見て、私たちの周りから少しずつ、コミュニケーションの輪が広がっていったら嬉しいです。そして今後は、YADORESIの住民にももっとフォーカスを当てていきたいです。一人ひとりのことをよく見て、活躍できる機会をつくることもコミュニティビルダーの役割だと思うので、住民含めいろいろな人のやりたいを応援した結果、星天エリアが盛り上がるような仕組みが作れたら理想だなと思います。」

地元の商店街で行われる例大祭で、神輿のサポート役をする2人。

みゆうさん「大人になってからでも新しいことに挑戦するのが、私にとって『遊び』で、星天qlayでやりたいと思っていたことです。大人になると『もういい大人なんだから』、『失敗できないから』という空気を感じてしまうこともあります。そのなかでもやりたいことや好きなことを、みんなを巻き込んで全力でやるのが、私にとっては『生きかたを、遊ぶ』だなと思います。

星天エリアはずっと住んでいたまちですが、コミュニティビルダーの活動を始めてから、まちの個性やつながりの強さを感じたり、人の温かさに触れたりして、まちの見え方が大きく変わりました。星天qlayのようにふらっと商業施設に来て顔見知りの店長さんと挨拶できる環境は現代ではかなり珍しいですよね。YADORESIの住民、星天qlayの店長さん、地域の方など、同じまちにいる人たちが顔見知りになって、何かあれば助け合う昭和の下町のような関係性が、このまちなら実現できそうだなと感じています。1年弱でみんなのやりたいこと、一緒にできそうなことがやっと見えてきた段階で、それを形にするまでがコミュニティビルダーの役割だと思うので、やってみたいことを実験できる星天qlay、YADORESIで、みんなの『やりたい』を一つでも多く叶えられるよう頑張りたいです。」

「2人じゃなきゃできなかった」とお互いに語る姿が印象的だった千花さんとみゆうさん。YADORESIという「家」だからこそできる場づくりを行い、暮らしを遊びながらコミュニティを育む2人の姿に引き付けられて、少しずつ少しずつ、まちに優しいつながりが生まれているように感じます。「生きかたを、遊ぶ」という言葉に惹かれた方、このまちでやってみたいことがある方は、ぜひ2人に会いに、YADORESIに足を運んでみてはいかがでしょうか?

 

取材/橋本彩香・山下里緒奈

文/橋本彩香

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