星天qlayとは

2024.10.07

「生きかたを、遊ぶ」心を育む、こだわりの小規模保育/ ばばほいくしつ星川

2023年12月、Cゾーンのオープンと同時に星天qlayに移転した「ばばほいくしつ星川」。定員はなんと12名で、小規模保育園の良さを存分に活かした保育を行っています。子どもたち一人ひとりと丁寧に向き合うために、どのような工夫をしているのでしょうか?

今回は「星天qlayに移転するのが念願だった」と語る園長の佐藤千晶さんに、ばばほいくしつが大切にしていること、そして星天qlayへの思いを聞きました。

 

幸せの種を芽吹かせる

0歳から2歳までの12名を預かるばばほいくしつ星川。園長である佐藤さんが園の設計にも携わり、子どもたちが過ごしやすい環境づくりにこだわっています。

佐藤さん「私は、『子どもはみんな幸せの種を抱いて生まれてくる』という言葉が好きです。そしてその幸せの種を枯らすも芽吹かせるも環境次第。私たちは、芽が生えるその土の下を一生懸命耕すイメージで保育をしています。

過去には大きい園で働いていたこともありますが、対人数が多いとどうしても子どもに『待っててね』と言う時間ができてしまいます。特に0歳~2歳くらいの子どもは、靴下を履く、靴を履く、帽子を被る、という一つ一つの動作にものすごく時間と手間がかかりますが、ただやらせるのではなく、『暑いからこうやって帽子を被ろうね』、『足が汚れちゃうから靴下を履こうね』と声をかけながらやりたい。そういった私の理想とする丁寧な保育を突き詰めた結果、たどり着いたのがばばほいくしつの小規模保育でした」

 

~point~

佐藤さんの経験から年齢ごとにお部屋を分けることにこだわっており、0歳児用、1歳児用、2歳児用の3つのほいくしつがある。各部屋に2人ずつ保育士がついており、常に一人ひとりに目が行き届くので、安心して子どもを預けることができる。

 

小規模保育の強みを活かして

「おしごとコーナー」には、先生お手製の教具が並んでいる

星天qlayのコンセプトである「生きかたを、遊ぶ」に親和性を感じているという佐藤さん。子どもたちの「生きかたを、遊ぶ」心を育むために、ばばほいくしつではモンテッソーリ教育を取り入れています。モンテッソーリ教育とは、「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という自己教育をもとに考えられた教育法です。

佐藤さん「星天qlayのコンセプトである『生きかたを、遊ぶ』を聞いたときに、まさに私たちがやっていることそのものだなと感じました。生きていて楽しい、生きるって素晴らしいと感じてもらうためには、やりたくないことを無理にやらせるのではなく、自分で好きなことを見つけてそれに一生懸命取り組むことが一番だと思うんです。なのでばばほいくしつでは、この時間はこれをしましょうという決まりはありません。そういった社会性、協調性は幼児期に入ってからで良いと考えているので、ここではとにかく子どもたちのやりたいことを温かく見守っています。

そのような環境作りの一環で、ばばほいくしつでは『モンテッソーリ教育』を取り入れています。モンテッソーリの教具を置いた『おしごとコーナー』では、子どもたちは自由に遊ぶことができます。教具の多くは、『この子は今こんなことに興味があるな?じゃあこういう教具を作ってみよう!』と子どもたちの様子を見ながら先生たちが手作りしたものです。遊び方が違っていても、『こうしたら?』とは言わずに、『素敵にできたね』と声をかけるようにしています。

0~2歳の子どもはとにかく手先を使いたい年頃で、よくいたずらをします。それは大人を困らせようとしているわけではなくて、せっかく使えるようになった自分の機能を使ってみたいという気持ちからだと思うんです。なので教具でその機能を思う存分発揮させてあげると、気持ちを落ち着かせることができます。

世間で言うイヤイヤ期というのは、気持ちを汲んでもらえないイライラから反抗的な態度が生まれてしまうので、自分の好きなことを心ゆくまでできる環境があると、0~2歳の子どもも比較的穏やかに過ごすことができるんです。こういった子どもたちの気持ちを尊重した保育ができるのも、一人ひとりに目の行き届く小規模保育ならではの良さだと感じています」

 

こだわりのカリキュラム

子どもたちのために考え抜かれたばばほいくしつのカリキュラム。中でもこだわっているのが、食育と英語教育なのだとか。

佐藤さん「乳児期の子どもを預かる保育園ではあまりやっている園は少ないですが、ばばほいくしつでは食育も行っています。1歳はこれ、2歳はこれをやるという決め方ではなく、目の前にいる子どもたちの興味関心から食育の計画を立てています。園で育てた野菜を調理室に届けて、給食で出してもらうことも食育の一環です。調理師さんは給食の時間にそれぞれの部屋を回ったり、保育士と話をして、子どもたちのことをよく理解してくれています。保育士と調理師が連携しながら、子どもたち一人ひとりの食の進捗や食べられる食材に合わせたメニューを作っているのがうちの強みです。

また、語学が堪能な理事長の考えで、英語にも力を入れています。英語に耳を慣らすために、週に2回ネイティブの先生をお呼びして、10~20分程度、歌や絵本、ゲームの時間を作っています。その後はネイティブの先生たちも保育に入って、英語で子どもたちに話しかけています。すると子どもたちは、朝の会で天気を尋ねたときに英語で答えたり、英語で『じぶら』と呟きながらパズルをしたりします。教えているわけではなく、遊びの中で日本語と同じように自然と英語が身についています」

 

心待ちにしていた星天qlayへの移転

移転前は星川駅から徒歩15分ほどの坂の途中に園を構えており、お散歩にバギーが使えなかったり、園見学の際に場所が伝わらなかったりと苦労することも多かったのだとか。立地が悪くても保育理念に惹かれて通ってくれる保護者の方も多いなか、なんとか平地への移転を模索していたところに、星天qlayができる話が舞い込んできたと言います。

佐藤さん「移転先を探していたなかで星天qlayができるという話を聞きました。申し込みが通ったら星天qlayにいけるとみんなでわくわくしながら待っていて、やっと移転が叶いました。保護者の方々も移転が決まってとても喜んでくださり、引っ越しもサポートしていただきました。

移転後はいろいろなテナントさんがご挨拶に来てくださって、コラボレーションのお声がけをしてくださったり、本当に夢が広がる環境だと感じています。PINEDEさんが声をかけてくださって、8月には2歳児クラスでクッキーづくりとアイスのトッピング体験をさせていただきました。PINEDEさんの店舗にお邪魔させていただいて、子どもたちは一生懸命に、そしてとても楽しそうに取り組んでいました。乳児期の子どもたちでもできることを考えて提案してくださって、とてもありがたかったです。地域の皆さんと一緒に子どもを育てていきたいと思っているので、これからさらに色々なことができればと思っています」

 

好きなことをやり、分かち合う

最後に、佐藤さんが思う「生きかたを、遊ぶ」、そして地域の方へのメッセージをいただきました。

佐藤さん「子どもたちがこの世に生まれてきてよかった、生きるって楽しいと思ってもらえるためにはどうしたらいいかを考えたときに、やっぱり好きなことを存分にやることだと思うんです。好きなことを追求して、自分なりに楽しんで生きていってほしい。そしてそれは、大人も子どもも同じだと思っています。私も生まれてからずっと好きなことを自由にやらせてもらって、両親やばばほいくしつの理事長など、そういった人との繋がりに感謝しています。

それとは反対に、『生きるってつまらない』になってしまう要因を考えると、いつも1人だったり、相談したり喜びを共有する相手がいない、自分を認めてくれる存在がいないことかなと私は思っていて。たとえ自分の好きなことができていても、そういう人たちがいないと、どこか寂しい人生になってしまうと思うので、生きるって楽しいと思うには、人というのはすごく大事なのではないかと思います。

今までは奥まった分かりにくい場所にありましたが、この場所にきてやっと私たちのかわいい子どもたちを見てもらえるという喜びを感じています。子どもの成長、泣き笑いをそばで見てきて、日々私たち保育士が元気づけられているので、ぜひ地域の皆さんにも、ばばほいくしつというのがあって、かわいい子どもたちが近くにいることを知ってもらい、まちなかにいる子どもたちをあたたかく見守ってもらっていただけたらありがたいです」

 

取材・文/橋本彩香

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